| フランス人が手に入れたいと思っている家
フランスの新築の家は、ブロックで造ったペラペラのものが多い。若いエンジニアたちが住んでいるアパートなどは、壁も薄く叩くと隣の部屋にまで音が響く。地震の心配のない国では、ペラペラでも十分なのであろう。
ところで、彼らが、もし金持ちになったら(決してミリオネアではないが)是非、実現したい住環境というのがある。
それは、プロバンス地方で言われている「MAS(マ)」という石造りの古い農家を手に入れ、自分流にリフォームしてゆったりと住むことである。
MASは、数百年前のものであり地方の田舎に少数しか無く、価格も相当なものである。彼らは、お金と物件に恵まれたならば、MASを購入して自分たちで(荒れ果て住むには相当手を入れないと住めない)リフォームするのである。
作りは、石で出来ており数百年も残っているので、しっかりしている。
モダンで生活臭くない洗練された都会的住環境を求めるのかと思ったら、大半の人はMASを買い求めリフォームし田舎に住みたがるのである。
ただ、MASのリフォームは簡単ではなく、プロ並みの腕と根気が必要であり、日曜大工が好き(少なくとも苦でない)でないと実現できない。(そのために日頃から日曜大工の腕を磨いているのである!?)
フランスで日曜大工が盛んな理由
「日曜大工が好きでないと・・・」と言うと意外な感じがする方も多いと思う。お金をかければすてきなリフォームが可能ではないか、日本人の感覚ではこうなる。ところがフランスでは日曜大工が盛んである。
度々、引用して恐縮であるが、早坂隆さんの著「世界の日本人ジョーク集」の中に、こんな話しがある。
−料金の内訳−
アメリカのとある工場で、機械がすべてダウンしてしまうというアクシデントが起きた。修理工たちは必死になってあちこち調べたが、なかなか原因がわからなかった。
そこでとうとう日本人の技師が呼ばれた。その日本人はしばらく機械をじっと眺めた後、ハンマーで機械を2〜3箇所トントンと叩いた。すると驚いたことに機械は元通りに動き始めたのだ。
日本人技師は修理代として5,000ドルの請求書を出した。
工場長は驚いて言った。「あなたは機械をちょこっと叩いただけじゃないか。それでこの値段はあんまりだよ。詳しい明細を書いてくれ。」
日本人技師は何もいわず内訳を書いて改めて請求書を出した。それにはこう書かれていた。
「叩き代5ドル、叩き場所捜索代4995ドル」
日本の修理屋さんは、すごく優秀なのである。
19話 自動販売機 で話題にしたように、日本製品は壊れ難いし、家の施設・設備が壊れても、すぐ修理してくれる。
一方、フランスでは、機械はすぐ壊れるし、修理にはなかなか来てくれない。フランスに住んでいるとき、洗面所の配管が漏れ出した。洗面所は毎日使うものだし下に洗面器を置いてとりあえず修理が済むまで急場をしのいだ。
が、修理屋が1ヶ月間来なかったし、さんざん待ったあげく、修理もいい加減だったので、また漏れ出した。理由は「立て込んでるしバカンスのシーズンだからね」と言う。
結局、日曜大工の店に行って必要な材料と道具を買ってきて自分でやり直した。フランスの修理屋さんは、なかなか来ないし下手、というわけで、簡単な修理や修繕なんかは、自分でやるという人が結構多い。
後で同僚のフランス人に事の次第を話したら「そんなことぐらい自分でやるんだ」と反対にたしなめられた。
フランス人は、模様替えのために、壁紙を張り替えたり壁のヒビを補修したり日常的に日曜大工をしている。月曜の朝など「土・日は壁の張り替えで大忙し、会社より忙しかったよ」と、仕事の話はそっちのけで、日曜大工の話題に事欠かない。
決して器用ではないと思われる(失礼!)フランス人の間で、日曜大工が盛んなのは、「好き」というだけでなく必要に迫られてという背景もあるようだ。
日本の雑誌に載っているセンスの良いパリの瀟洒な部屋は、実は日曜大工のたまものなのである。
by エダ
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