| この話を、「映画」の中で書こうか、「フランス語」の中で書こうか迷った。結局、フランス人にとってチョコレート(フランス語でショコラ)は特別な食べ物なので「フランス語」の中で紹介する。
フランスのチョコレート消費量は、何と世界で第2位だそうだ。(1位だと思ったのに!ちなみに、1位はスイス)一時的にチョコレート消費量が多くなることはあるが、フランスでは1年中消費されている。
その証拠に、どんな小さな町にもチョコレートだけを売っているチョコレート屋があって、チョコレートだけを売って生業として成り立っている。
フランス人の家庭に招かれたときに持っていくのは、花かチョコレートと相場が決まっている。
食後に飲むエスプレッソには、必ずと言っていいほどチョコレートが添えられているところをみると、毎日、最低1回はチョコレートを食べているのではないかと思う。
それほどフランス人はチョコレートが好きだ。ちなみに、エスプレッソについてくるチョコレートの食べ方は、チョコレートを入れてかき混ぜ一緒に飲む、まずチョコレートを口に入れて、それを味わいながらエスプレッソを飲む(もちろん砂糖を入れて)、エスプレッソを飲んだ後、口の中に残っている余韻と一緒にチョコレートを食べる等いろいろな食べ方があり特に決まった食べ方は無いようだ。
映画「ショコラ」は、そのようなフランス文化を知らなくても、柔らかく自然な美しいライティングで、とてもステキな心温まるおとぎ話である。
撮影は、フランスの片田舎、ワインで有名なブルゴーニュ地方のFlavigny-sur-Ozerain(フラヴィニー・シュール・オズラン)という小さな村で行われたそうだ。
フランス人とフランスの町を描いている映画なのに、言葉が英語、挨拶をするときは「ボンジュール」と思い出したようにフランス語が出てくるところがチョット不自然だが、それを差し引いてもステキな作品である。
主役を演じるジュリエット・ビノシュが開いた小さなチョコレート屋「マヤ」で作られるチョット変わったチョコレートが、古いフランスの宗教や因習に縛られた生活おくる人々を少しずつ人間らしく変えていく。
それにしても、主役を演じるジュリエット・ビノシュがすばらしい。この好演をジョニー・デップがさりげなくサポートする。
脇役の中でもピカイチなのは、糖尿病を患った祖母役を演じるジュディ・デンチ。彼女は、英国の舞台女優で、Dame(男性の"サー"にあたる)の尊称を授与されている大女優だ。
また、映画の中で彼女に言わせている「死んでも良いから好きなものを食べて飲む」という意味の台詞は、フランス人の食に対する考え方を象徴している。
チョコレートで人の心を変えようなどと、日本人の感覚からすれば、あり得ないと思えるかも知れないが、フランス人の食文化やチョコレート好きを考慮するとさもありなんである。
この映画の面白さは他にもあり、例えば媚薬のようなチョコレートは堕落への隠喩だし、チョコレートの店をキリスト教の四旬節(しじゅんせつ)が始まる日に教会の隣に開店する挑戦的設定は伝統から近代化へと移り変わるフランス国全体を象徴している。
四旬節に誘惑、官能のシンボルであるチョコレート屋を開くのは、権威、因習への明らかな挑戦である。
主演のジュリエット・ビノシュは、女優としてもすばらしいが、プライベートもなかなかの強者で、結婚してないのに1男1女の母である。公私ともに、この映画のヴィアンヌ役にはうってつけである。
彼女が、主演した「イングリッシュ・ペイシェント」を見てみたくなった。
ところで、古いフランスの宗教や因習に縛られた母親役をしていたキャリー・アン・モスは、マトリックスでカッコイイ女性トリニティを演じた人である。
全然イメージが違うので驚いた。こんな新しい発見もあって、本当に映画って面白い。
by エダ
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